NARO Style🄬 12週間チャレンジ
以下の臨床試験を実施→「20日分のお弁当を3回分、平日の昼食時に食べることで内臓脂肪面積の低下が期待できる。」ことが判明
1食あたり
・エネルギー700kcal ・たんぱく29g ・食物繊維10g・塩分2g ・カテキン0.6g
機能性農産物・成分
もち性大麦(品種:キラリモチ)、β-グルカン)
機能性表示:食後血糖上昇を緩和
内臓脂肪が平均9.2cm減少
「機能性弁当」の継続摂取による内臓脂肪低減効果
要約
機能性農産物を組み合わせた「機能性弁当」を週5回(平日昼食時)、12週間摂取するヒト介入試験では、内臓脂肪面積が有意に低下し、特に50 %大麦及び玄米摂取で高い効果が認められる。
・キーワード: 機能性農産物、大麦、「べにふうき」緑茶、内臓脂肪面積低下、1,5-AG低下
・担当: 食品研究部門・食品健康機能研究領域
・ 代表連絡先: 電話 029-838-7991
・分類: 普及成果情報
背景・ねらい
機能性表示制度の施行により、機能性農産物の開発も農業関係者、地方自治体、食品企業等で進んでいる。しかし、単品農産物の機能性解明が主であり、農産物の複合的な健康維持・増進効果についての検討はほとんど行われていない。そこで、機能性農産物を組み合わせた「機能性弁当」のヒト介入ランダム化比較試験(RCT)を実施して、生活習慣病予防効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 機能性弁当はあらかじめ20日分のレシピを作成し、これを3回繰り返して60日分製造する。介入する機能性農産物としては、「米飯」、「おかず」、「茶」であり、機能性「米飯」は、週のうち3日は白米にβ-グルカン高含有大麦を50 %混米した50 %大麦パックご飯180 g、2日は表面加工玄米パックご飯180 gを、「おかず」は、主菜、副菜1、副菜2からなり、機能性農産物を使用した日替わりの献立を、「茶」は、高カテキン緑茶である「べにふうき」緑茶エキス粉末3包(総カテキン670 mg,メチル化カテキン50 mg,カフェイン125 mg、毎食時1包ずつ)を摂取する。それぞれ1要素のみを機能性食品とする3群と、すべての機能性要素で構成される機能性食品1群の計4群とし、対照の「米飯」は白米180 g、「おかず」は機能性農産物を使用しない献立、「茶」はカテキンを含まない麦茶とする(表1)。
- 内臓脂肪面積が100 cm2以上の肥満傾向の男女159人をランダムに4群に分け、機能性弁当を平日の昼食時に12週間喫食してもらい、内臓脂肪面積、血糖コントロール指標(Hb1Ac、グリコアルブミン、1,5-アンヒドログルシトール(AG))を測定する。
- 実施したヒト介入試験では、内臓脂肪面積が、試験へ参加することにより6週、12週とも有意に減少する(図1)。3要素すべてが機能性食品である群(-9cm2)及び機能性「米飯」群(-14 cm2)では12 週においても減少効果が維持される。また、試験開始内臓脂肪面積が100~127 cm2の被験者(図2)や女性被験者が、機能性「米飯」を摂取すると、他の機能性農産物群より顕著に内臓脂肪面積が低下する。さらに、機能性「茶」の連続飲用で、1,5-AGが他の機能性農産物群に比べ有意に低下する。
普及のための参考情報
普及対象:消費者、外食事業者
普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:一般消費者、企業内社食、レストラン等
その他:
1)ヒト介入試験の最終解析人数は「機能性弁当」配布が記録上80 %以上の日で行なわれた137名である。本試験は、医療法人みなとみらいの倫理審査委員会の承認を得て実施された(UMIN-CTR番号:UMIN000019051)。
2)本ヒト介入試験で使用した20日分のレシピは社食、外食事業者等に公開して、肥満傾向の社員や購入者における12週間の健康維持・増進効果の検証を行うことが可能である。
3)安定的な生産が確立されていない、穀類、緑茶以外の機能性農産物の供給体制を整備する必要がある。
具体的データ
その他
予算区分: 交付金、その他外部資金(24補正「機能性食品プロ」)
研究期間: 2013~2016年度
研究担当者:
山本(前田)万里、廣澤孝保、大谷敏郎、川本伸一、倉貫早智(神奈川保健福祉大)、三原洋一(NKアグリ)、中村丁次(神奈川保健福祉大)、田中俊一(医療法人みなとみらい)、大橋靖雄(中央大)
発表論文等:
1)山本(前田)ら(2017)日本食品科学工学会誌、64(1):24-33
2)山本ら「血糖低下剤、1,5-アンヒドログルシトール低下剤及び飲食組成物」 特願2016-051423 (2016年3月15日)
3)山本ら「飲食物及びスクリーニング方法」 特願2016-053456 (2016年3月17日)